2015年9月16日水曜日

「「早死に」の原因は食生活だった(研究結果)」のばか

なんだろう。この冗談みたいなハフポストの記事は。ツッコミどころがありすぎて、ツッコミたくなくなりますし、こんなことやってる場合じゃないんですが、いかにピックアップするポイントがひどいかだけ、備忘録がてら。

「早死に」の原因は食生活だった(研究結果)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/14/poor-diet-cause-of-early-death-_n_8137502.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001

2013年には世界中で3,100万人が死亡しており、1990年の2,500万人から大幅に増えている。
こんな指標をドーンと出してくる斜め上のセンスがすごい。1990年当時の人口は52億7000万人、2013年で70億人。試しにこの単純計算土俵に乗っかって総人口に対する死亡率を単純比較してみると1990年は4.8%で、2013年は4.4%。わざわざ指摘するまでもなく、単純死亡率では有意に下がってるじゃないですか。

だいたい世界的にも、大局的には平均余命が右肩上がりな21世紀のいま(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life10/03.html
 )、「早死に」という個人の意識に引っ掛けた見出しが気持ち悪い。

あとね。この博士がかわいそう。

研究を主導した、保険指標評価研究所のクリストファー・マレー博士は、「喫煙や不健康な食生活をやめ、大気汚染などの環境リスクへの対策を強化すれば、健康を改善できる可能性は高い」と述べた。

クリストファー・マレー博士もこんな煽り記事のなかで、さも新しいことを語ってるようなしつらえで書かれると迷惑がるんじゃないでしょうか。「述べた」じゃねえよ。と口の悪い人なら罵詈雑言を浴びせるところですよ。比べてみると同じ研究内容でも以前の発表に対する東京大学のリリース(※PDF http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20121214.pdf )は劇的にまとも。
発表内容: 医療の進歩や開発の進展によって、世界の人口の大半は早死しなくなったものの、皮肉なこと に病気を抱えながら長生きするようになったことが、世界の疾病負担研究(GBD 2010)により 分かった。

予測はできていた当たり前のことだけれども、きちんと調査したら改めて実証されたという研究を「劇的な新発見!」みたいな調子で書かれた記事をい海外から持ってくる。Webのオチの失格例としてよく持ち出される「どうだろうか」という言葉を使わざるを得ないわけです。

だいたい元記事のハフポストUK版の記事(http://www.huffingtonpost.co.uk/2015/09/14/poor-diet-largest-cause-of-early-death-worldwide_n_8132344.html なんて英国本国ではそのままゴミ箱行きレベルで読まれてないのになんでわざわざ日本に持ってきてゴミを撒き散らかすんでしょうか真に受けるほうも真に受けるほうだしこんなところでブログに書いてる自分もどうかと思うんですが


でもこういう記事ばかり引っ張ってきてると、メディアとして信頼されなくなって読まれなくなりそうなリスクが危なくて怖いです。という、自戒を込めながら、書き手のNatasha HindeさんというLifestyle writerさんの記事をざざっと見てみました。
http://www.huffingtonpost.jp/natasha-hinde/

日本で言うと(面識はないけど)あの人とかあの人みたいなライターさんかな。ああ、本当にどうでもいいものに時間を費やしてしまった。あわてて見積もりと企画書と原稿にとりかかりながら、明日行われる夢のような肉会に備えます。

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